3Dプリンターで試作品を作る手順!準備のポイントや製作のコツも解説

製品開発をスムーズに進めるために、3Dプリンターで試作品を製作する企業が増えています。しかし「何から始めればいいかわからない」「思った通りの形にならず、時間がかかってしまう」と悩んでいる方も多いでしょう。
そこで、この記事では3Dプリンターで試作品を作る手順を解説します。準備のポイントや製作のコツも紹介するので、業務で試作を担当している方は最後までご覧ください。
3Dプリンターで試作品を作るメリット

3Dプリンターで試作品を作るメリットは、主に次の3点です。
- 製作コストを抑えられる
- 開発期間を短縮できる
- 複雑な形状も再現できる
製作コストを抑えられる
試作品を金型で製作している場合、形状が少しでも変更されると型の再加工が必要になり、そのたびに時間と費用がかかってしまいます。開発の初期段階では仕様が固まりきっておらず、実物を見ながら調整したい場面も多いため、金型を前提とした進め方は負担が大きくなりがちです。
しかし、3Dプリンターであれば、設計データを修正するだけで次の試作に移れます。形状を少し変えたい、寸法を確認したいといった段階でも、必要な分だけを気軽に出力できるため、試行錯誤を前提とした開発に向いています。
開発期間を短縮できる
設計データを作成してから実物を確認するまでに間が空くと、修正点や改善案が曖昧になり、改めて考え直す手間も増えていきます。3Dプリンターを使えば、設計が一区切りついた段階ですぐに形にできるため、考えが鮮明なうちに確認作業へ移れます。
画面上では気づきにくいサイズ感や使い勝手も、早い段階で把握でき、方向修正が必要かどうかをすぐに見極めることも可能です。こうした確認と修正を短いサイクルで回せることが、開発期間の短縮につながっていきます。
複雑な形状も再現できる
これまでの切削加工や金型による製作では、工具の入り方や抜き方向を考慮する必要があり、形状そのものに制限がありました。特に、内部が入り組んだ構造や曲面が連続する形状は、設計の段階で実現が難しいと判断されるケースも少なくありませんでした。
しかし、3Dプリンターは層を積み重ねるように形作るため、従来の方法では難しかった形状もそのまま造形することが可能です。これにより、これまで発想段階で諦めていた構造にも挑戦でき、設計の可能性そのものを広げられます。
3Dプリンターで試作する前にやるべきこと

試作をスムーズに進めるためには、次のような準備が必要です。
- ものづくりの流れを理解する
- 基本的な仕組みを押さえる
- 活用できる場面を把握する
ものづくりの流れを理解する
ものづくりでは、設計・試作・評価・修正という一連の流れを理解しておくことが重要です。この流れを意識していないと、試作の目的が曖昧になり、完成した試作品を前にしても適切な判断ができません。
流れを理解していれば、今回は外観確認なのか、寸法や強度の検証なのかといった試作の狙いも明確になり、適切な判断もしやすくなります。3Dプリンターを用いたものづくりの流れを詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:3Dプリンターとは?導入するメリットやモノづくりの流れを解説
基本的な仕組みを押さえる
層を積み重ねて形を作るという特性上、細い部分が欠けやすかったり、向きによって強度や表面状態が変わったりします。こうした基本的な仕組みを知らずに設計すると、なぜうまくいかなかったのかが分からず、同じ失敗を繰り返してしまうこともあります。
そのため、どのように材料が積み上がり、どこに負荷がかかりやすいのかを把握しておくことが大切です。仕組みを押さえておくと、サポートが必要になりそうな形状を避ける、積層方向を考慮して肉厚を調整するといった改善案も自然と出てきます。
3Dプリンターの基本構造については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:3Dプリンターの仕組みとは?基本構造や出力までの流れを解説
活用できる場面を把握する
3Dプリンターというと、試作品そのものを作る用途を思い浮かべがちですが、検証を進めるための補助的な道具として使う場面も少なくありません。たとえば、位置決め用の治具や仮固定のためのパーツを用意することで、組み立てや確認作業が進めやすくなります。
毎回手作業で調整していた工程も、専用の治具を用意するだけで再現性が高まり、検証の条件を揃えやすくなるでしょう。開発全体の流れを把握したうえで、どのように3Dプリンターを活用できるかを考えると、作業効率や検証精度の向上にもつながります。
3Dプリンターの活用シーンについては、こちらの記事にまとめています。
関連記事:3Dプリンターで部品を製作するメリット5選!活用シーンや注意点も解説
3Dプリンターで試作品を作る手順

3Dプリンターでの試作品製作は、次のような手順で進めるのが一般的です。
- 検証項目を明確にする
- 3Dデータを最適化する
- 目的に合う材料・造形方法を選ぶ
- 小さくテスト造形する
- 検証用の試作品を出力する
- 改善点を洗い出す
検証項目を明確にする
検証項目を整理する際は、いきなり細部を洗い出そうとするのではなく、全体の流れを一度俯瞰してみてください。部品がどの工程で使われ、どの段階で他の要素と関わるのかを追っていくと、自然と確認が必要な場面が見えてきます。
使用環境や作業手順を頭の中で順にたどることで、図面を見ているだけでは気づきにくいポイントにも目が向きます。洗い出した項目については、優先順位をつけて整理していくことが大切です。
まずは全体の干渉や大きな寸法ズレといった致命的になりやすい点を確認し、その後で操作性や細部の形状といった調整要素を見ていくと、判断が進めやすくなります。
3Dデータを最適化する
検証項目が定まったら、それに合わせて3Dデータの作り方を見直していきます。完成品を想定した形状の中には、検証には不要な要素が含まれていることも多く、そのまま造形すると時間や手間がかかりすぎてしまいます。
たとえば、検証の目的が外観ではなく内部の干渉確認であれば、周囲の形状を簡略化しても支障はありません。このように、確認したい内容を起点に形状を見直すことで、造形時のトラブルを避けやすくなり、狙ったポイントを効率よく検証できます。
目的に合う材料・造形方法を選ぶ
材料・造形方法によって、強度の出方や寸法の安定性、表面の状態は大きく変わります。そのため、検証したいポイントと材料や造形方法の特性が噛み合っていないと、結果の解釈が難しくなります。
たとえば、しなりを確認したいにもかかわらず、完成品で使用する材料よりも硬いものを選んでしまうと、設計の良し悪しを正しく判断できません。検証の目的に合った条件を選ぶことで、試作から得られた結果を設計判断に結びつけやすくなります。
必ずしも最も高性能な材料や方式を選ぶ必要はありません。検証に必要な要素を満たしていれば、造形のしやすさやコストとのバランスを取るという考え方もできます。
造形方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:【試作開発に!】押さえておきたい!3Dプリンターの5つの造形方式と特徴
小さくテスト造形する
いきなり検証用の試作品を出力するのではなく、まずは一部を切り出して小さく造形してみることで、全体の見通しを立てやすくなります。造形の安定性は実際に出力してみないと分からない部分も多く、データ上では問題がなさそうでも、想定外の歪みや欠けが出ることも少なくありません。
最初の段階で小さなテスト造形を行っておくと、そうした傾向を早めに把握でき、修正が必要な箇所も見つけやすくなります。肉厚の調整やエッジの処理、造形方向の見直しなども、この段階であれば大きな負担にはなりません。
小さな確認を積み重ねることで、検証用の試作品を出力する際の手戻りを抑えられます。
検証用の試作品を出力する
テスト造形で問題点を整理できたら、検証用の試作品を出力します。この段階では、確認したい項目を一通り満たす形になっているかを意識することが大切です。
細部の仕上がりに目を向けすぎると、本来見るべき動作や組み合わせの確認がおろそかになることもあります。そのため、事前に定めた検証内容に立ち返り、必要な条件が揃っているかを確認したうえで造形を進めてみてください。
改善点を洗い出す
試作品が形になったら、実物を確認しながら改善点を整理していきます。組み付けのしやすさや動きの滑らかさ、手に持ったときの感触などは、実際に試作品を使ってみることで初めて見えてくる要素です。
こうした気づきを一つずつ洗い出し、設計に反映したうえで再度試作と検証を行うことで、完成度を着実に高めていけます。3Dプリンターは短時間で再出力できるため、一度の試作で完成を目指すのではなく、小さな修正と再出力を繰り返す進め方が効果的です。
3Dプリンターで理想の試作品を作るコツ

理想に近い試作品を作るためには、以下のポイントを意識しておく必要があります。
- 必要な機能に絞って設計する
- 後処理で仕上がりを整える
- 専門業者を活用する
必要な機能に絞って設計する
試作を進めていると、設計を見直すたびに「あれも確認しておきたい」「この機能も入れておいたほうがよさそうだ」と考えが広がっていきます。最初は単純だった試作品も、修正を重ねるうちに要素が増え、いつの間にか完成品に近い構成になってしまうことがあります。
そうなると、確認したかったポイント以外の部分に目が向きやすくなり、判断の軸を見失いかねません。そこで、設計を進める途中でも「今回は何のための試作か」に立ち返り、盛り込む機能を意識的に絞っていくことが大切です。
後処理で仕上がりを整える
3Dプリンターで造形した試作品は、出力した時点ですべてが完成しているわけではありません。積層痕やサポートの跡が残っていると、形状自体は問題なくても、触ったときの印象や部品同士の当たり方に影響が出ることがあります。
このままの状態で評価を進めてしまうと、設計の問題なのか、仕上がりの問題なのかを正しく切り分けられません。そのため、どの段階でどこまで仕上げるのかを意識しながら、後処理を行うことが重要になります。
専門業者を活用する
造形条件の調整や材料選定に時間を取られ、本来考えるべき設計や検証に集中しづらくなることもあります。そうしたときに専門業者を活用すると、試作準備にかかる手間を省き、開発をスムーズに進めることが可能です。
また、自社では対応しきれない造形方式や材料を選べることも多く、検証の幅を広げるきっかけにもなります。発注の流れや注意点について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:3Dプリンター出力を依頼するメリット3選!発注の流れや注意点も解説
3Dプリンターでの試作に関するよくある質問

試作に取り組む際は、3Dプリンターに関するよくある質問も確認しておくと安心です。
- どの業界で使われている?
- 最終製品として使える?
- 作れないものはある?
どの業界で使われている?
3Dプリンターは、自動車製造業や家電業界、医療業界といった幅広い分野で活用されています。これまでは研究開発での利用が中心でしたが、最近はこれまでにない用途での使われ方も増えてきました。
たとえば、食品業界では3Dプリンティング技術を使って食べ物を作る取り組みが進み、建設業界では鉄筋コンクリートの代わりとなる構造部材の造形も行われています。具体的な活用事例はこちらの記事にまとめています。
関連記事:3Dプリンターの活用事例7選!選ばれる理由や効率的に使うコツも解説
最終製品として使える?
近年は3Dプリンターの性能が向上し、試作にとどまらず、実用目的で使われるケースも増えてきました。造形精度や寸法の安定性が高まり、用途によっては従来工法と並べて検討できる段階に入っています。
たとえば、高精度な粉末造形方式の3Dプリンターでは、高耐熱かつ高強度なプラスチック製品を製作でき、使用環境の厳しい部品に対しても有力な選択肢となっています。最終製品としての活用を検討している方は、こちらの記事もご覧ください。
関連記事:3Dプリンターは試作だけではない!最終製品造形・量産としての活用
作れないものはある?
現状の3Dプリンターでは、ガラスのような透き通った製品は作れません。一層ずつ材料を積み重ねる仕組み上、層と層の境目が光を乱反射してしまい、どうしても透明度が下がってしまいます。
また、樹脂や金属を積み重ねて造形することから、繊維のような柔らかい質感を再現するのも困難です。3Dプリンターの導入を考えている場合は、こちらの記事でどのような製品に応用できるかを確認してみてください。
関連記事:3Dプリンターでできること一覧!作れるものやできないことも解説
まとめ
この記事では、3Dプリンターを使った試作品製作の手順や、理想の試作品を作るためのコツを解説しました。3Dプリンターの仕組みやものづくりの流れを把握しておくことで、想定外のトラブルを防ぎ、試作をスムーズに進められます。
また、試作の目的に合わせて設計や後処理を調整すれば、品質を保ちつつ、開発期間の短縮につなげることが可能です。3Dプリンターは開発の効率化に役立つため、この記事を参考にしながら、自社に合った試作品製作に取り組んでみてください。
もし「社内に設備がない」「形状が複雑でうまく出力できない」といった理由で試作品を製作できない場合は、専門業者への依頼も一つの選択肢です。たとえば、弊社では粉末造形の3Dプリンターを用いて、ガラス入りナイロンによる試作品を製造しています。
耐熱性・強度ともに優れており、試作品としてだけでなく最終製品としての使用も可能です。弊社の粉末造形技術を詳しく解説した記事も公開しておりますので、ご興味をお持ちの方は「お問い合わせフォーム」よりお気軽にご相談ください。

