3Dプリンターでできること一覧!作れるものやできないことも解説

ものづくりを効率化するために、3Dプリンターを活用する人が増えています。しかし「どんなものが作れるのかわからない」「自分の業務や趣味に活かせるか知りたい」と悩んでいる方も多いでしょう。

そこで、この記事では3Dプリンターでできること・できないことを解説します。個人・法人それぞれの活用例も紹介するので、導入を検討している方は最後までご覧ください。

3Dプリンターでできること

3Dプリンターでできることは、主に以下の3つです。

  • 試作品の製作
  • オリジナル製品の少量生産
  • 想像力を育てるものづくり体験

試作品の製作

従来は試作品を作るたびに金型を用意したり、専門の加工機械を使ったりする必要があり、時間も費用も大きな負担になっていました。しかし3Dプリンターを使えば、設計データを用意するだけでそのまま立体物として出力できるため、短期間で試作品を作れます

試作品を早く作れると、実際に手に取って質感や大きさを確認し、改良点を見つけやすくなります。たとえば、手に持ったときの感触や組み立てのしやすさ、部品同士の噛み合わせなどは、図面では気付きにくい部分です。

実物を作って確認することで、細かな調整を重ねながら完成度を高められます。

オリジナル製品の少量生産

大量生産に適した金型は初期費用が高いため、少量生産では採算が合いにくいです。しかし、3Dプリンターなら金型を使わずに一つずつ直接出力できるため、必要な分だけ柔軟に生産できます

思いついたアイデアをすぐに形にしたいときや、顧客ごとにカスタマイズした製品を作りたいときに役立ちます。さらに、在庫を抱えるリスクを抑えられるため、小規模なビジネスでオリジナル製品を展開する際にも効果的です。

想像力を育てるものづくり体験

3Dプリンターはビジネス用途だけでなく、子どもが楽しめる学びの道具にもなります。自分の頭の中にあるイメージを形にする体験は、想像力を伸ばしつつ、ものづくりの楽しさを実感するのに最適です

たとえば、子どもが描いた絵を立体化すれば、自分の発想が現実の形になる感動を味わえるでしょう。また、3Dプリンターはデータをもとに作るため、デジタルリテラシーを身につける学習にも役立ちます。

設計ソフトを操作してデータを修正したり、出力後に改良点を見つけたりする経験は、思考力と課題解決力を高めるきっかけになります。

3Dプリンターでできないこと

3Dプリンターで対応が難しいことは、次の通りです。

  • スピード重視の大量生産
  • 繊維のような布素材の一体出力
  • ガラスのように透き通る造形

スピード重視の大量生産

3Dプリンターは一層ずつ積み重ねながら出力することから、造形に時間がかかります。そのため、射出成形やプレス加工のように一度に多数の部品を作れる仕組みと比べると、生産のスピードはどうしても劣ります

少量や試作品であれば金型を用意しなくて済むので費用を抑えやすいですが、数百から数千といった規模の生産になると、出力にかかる材料費や稼働時間が積み重なり、結果的にコストが高くなりがちです。

繊維のような布素材の一体出力

樹脂や金属などを積み重ねて造形するため、繊維のように柔らかくしなやかな布素材を再現するのは難しいです。布は細い糸が複雑に編み込まれてできており、通気性や伸縮性に優れていますが、こうした構造を精密に表現するには現在の技術では限界があります。

もちろん、格子状の構造を工夫すれば布に近い柔軟性を再現できますが、本物の布のような自然な肌触りや質感を実現するのは容易ではありません。そのため、アパレルやファッションの分野では、3Dプリンターで布そのものを作るというよりも、装飾品や立体的なパーツを出力して既存の布と組み合わせる活用方法が現実的です。

ガラスのように透き通る造形

3Dプリンターでガラスのように完全に透き通った造形を作るのは、現状ではまだ難しいです。層を積み重ねて造形する仕組みのため、層と層の境目が光を乱反射させてしまい、透明度がどうしても下がってしまいます。

樹脂を使えばある程度の透明感は出せますが、光をそのまま通すほどのクリアさは実現できません。もちろん、出力後に研磨やコーティングを行えば透明度は高められるものの、時間や費用がかかるため、多くの部品を安定して仕上げるのは現実的ではありません。

このような理由から、光学レンズやショーケースなど透明性が求められる製品では、従来のガラス加工や射出成形による透明樹脂が主流です。

3Dプリンターで作れるもの(個人向け)

3Dプリンターを活用すれば、個人でも次のようなものを製作できます。

  • 人物・建物のフィギュア
  • 子ども用のおもちゃ
  • オリジナルのアクセサリー
  • シンプルな収納グッズ
  • ガジェットの周辺アイテム

人物・建物のフィギュア

3Dプリンターは、人物や建物の特徴を立体的に再現できます。そのため、好きなキャラクターのフィギュアを自宅で製作したり、自分でデザインした建物を形にしたりと、趣味をより深く楽しめます

縮尺を変えれば、手のひらサイズのミニチュアから存在感のあるディスプレイ用まで、自由に作れるのも魅力です。

子ども用のおもちゃ

パズルや積み木などの知育玩具を自分でデザインして、世界にひとつのおもちゃを作れます。市販品にはない独自のアイデアを取り入れられるので、子どもの好みに合わせた特別なおもちゃに仕上げられます

また、市販のおもちゃは一部が壊れると買い直さなければなりませんが、自作のおもちゃであれば壊れた部分だけを作り直すことも可能です。子どもが描いたキャラクターやお気に入りの動物を立体化すれば、遊び道具としてだけでなく宝物にもなるでしょう。

オリジナルのアクセサリー

市販品ではデザインやサイズが限られているため、思い通りのアイテムを見つけられないこともあります。3Dプリンターを使えば、指にぴったり合うリングや、好きなモチーフをあしらったペンダントなどを自在に作れます

家庭用3Dプリンターで使われる樹脂は、軽くて扱いやすく、普段使いのアクセサリー作りに最適です。さらに、表面を研磨したり塗装したりすることで、仕上がりを自分好みにアレンジできるのも楽しみのひとつです。

シンプルな収納グッズ

机の上で散らかりやすい文房具をしまう箱や、引き出しの中で小物を仕切るトレーなど、収納グッズを作るのも人気です。市販品はサイズや形が限られているため、スペースにぴったり合うものを探すのは簡単ではありません。

3Dプリンターなら必要な寸法を測ってオーダーメイドのように仕上げられるため、机まわりをすっきり整理できます。

ガジェットの周辺アイテム

スマートフォンやタブレット、ゲーム機といったガジェットを快適に使うための周辺アイテムも自作できます。たとえば、机の上でスマートフォンを立てかけるスタンドや、ケーブルが絡まないように収納するホルダー、ゲーム機のコントローラーをまとめて収納するラックなど、自由にデザイン可能です

さらに、新しいモデルが出たばかりで市販のアクセサリーが手に入らなくても、3Dプリンターなら寸法を測ってすぐに作れます。

3Dプリンターで作れるもの(法人向け)

法人で3Dプリンターを導入すれば、次のようなものを製作できます。

  • 製品開発用の試作モデル
  • 製造現場で使用する治具
  • 展示会用の外観サンプル
  • 自社製品のカスタムパーツ
  • 生産ラインの保護カバー

製品開発用の試作モデル

新しい製品を開発する際には、設計段階から関係者が共通のイメージを持ち、方向性をすり合わせることが欠かせません。3Dプリンターを使えば、設計段階のアイデアを実際の形にして共有できるため、図面やCGだけでは伝わりにくい細部のイメージを共有できます

これにより、意思決定や開発サイクルのスピードを向上させることが可能です。また、顧客に試作モデルを見せれば、要求を具体的にすり合わせやすくなり、後工程での修正や手戻りを減らせます。

製造現場で使用する治具

製造現場では、製品を正しく組み立てたり検査したりするために、治具と呼ばれる補助器具を使用します。3Dプリンターを活用すれば、設計データから直接出力できるため、現場の課題に応じた治具をすぐに用意できます

高い精度が求められる場合は外注が適していますが、簡易的なものであれば、現場の要望を反映しながら社内で作成することが可能です。

展示会用の外観サンプル

展示会では、限られた時間の中で製品の魅力を伝える必要があります。完成品がまだ用意できない段階でも、3Dプリンターを使えば実物に近い外観サンプルを短期間で製作できます

外観サンプルがあることで、来場者はデータだけではわかりにくいサイズ感や形状を直感的に理解できるでしょう。また、実際に手に取れるモデルを用意すれば、製品への関心を高め、商談をスムーズに進められます。

自社製品のカスタムパーツ

自社製品をさまざまな顧客に提供する場面では、標準仕様だけでは対応できない独自の要望が寄せられることも少なくありません。従来であれば、専用の金型を用意する必要があり、柔軟な対応が難しいのが課題でした。

3Dプリンターを活用すれば、自社製品にぴったり合う専用パーツをすぐに製作できるため、顧客ごとのニーズに応じた最適な提案を行えます。このような対応は、製品の使い勝手を高めるだけでなく、顧客満足度の向上にも直結します。

生産ラインの保護カバー

生産ラインでは、モーターやベルト、ギヤなどの可動部がむき出しになっていることがあります。この状態では、作業者の手や衣服が巻き込まれるだけでなく、異物が混入して設備トラブルを引き起こす危険もあります。

しかし、設備にぴったり合う保護カバーを用意するのは難しく、安全対策が不十分なまま稼働を続けるケースも少なくありません。そこで現場に合わせた保護カバーを設計し、3Dプリンターで迅速に製作すれば、安全性と生産効率の両立が可能となります

3Dプリンター活用に関するよくある質問

3Dプリンターの導入を検討している方は、よくある質問もご覧ください。

  • 導入するメリットは?
  • どういう仕組みになっている?
  • 使える材料の種類は?

導入するメリットは?

3Dプリンターを導入する最大のメリットは、開発や製造の効率を高められる点です。コストがかかりやすい金型製作や機械加工といった工程を省略できるため、全体の生産性が向上します。

これにより、限られた人員や予算を有効に活用しながら、より多くの案件や新製品開発に取り組めるようになります。さらに、従来の加工方法では再現が難しかった複雑な形状も造形できるため、開発の自由度を高めることも可能です。

導入のメリットを詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

関連記事:3Dプリンターとは?導入するメリットやモノづくりの流れを解説

どういう仕組みになっている?

3Dプリンターは、設計データをもとに樹脂や金属などの材料を少しずつ積み重ね、立体物を作り上げる仕組みです。通常のプリンターが平面にインクを吹き付けるのに対し、3Dプリンターは高さ方向に層を重ねていくため、立体的な造形が可能になります。

造形方式にもいくつか種類があり、樹脂を熱で溶かして積み上げるFDM方式、液体樹脂を光で硬化させる光造形方式、レーザーで粉末を焼結させる粉末焼結積層造形方式などが代表的です。3Dプリンターの仕組みや基本構造は、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:3Dプリンターの仕組みとは?基本構造や出力までの流れを解説

使える材料の種類は?

使用できる材料は、3Dプリンターの造形方式によって異なります。たとえば、家庭用で普及しているFDM方式では、ABSやナイロンといった熱可塑性樹脂が利用できます。

一方、産業分野で用いられる粉末焼結積層造形方式では、ナイロンやポリプロピレンといった樹脂に加え、金属材料を活用することが可能です。3Dプリンターで使える材料については、こちらの記事で解説しています。

関連記事:【試作開発に!】押さえておきたい!3Dプリンターの5つの造形方式と特徴

まとめ

この記事では、3Dプリンターでできること・できないことについて解説しました。個人であれば、趣味の作品や実用的な日用品を手軽に作れます。

法人であれば、製造現場の部品や試作品を短期間で製作し、開発コストを抑えられます。アイデアを短時間で形にできる強力なツールなので、効率的にものづくりを進めたい方は、この記事を参考にしながら自身の趣味や業務に活用してみてください。

製造現場の部品や試作品を作る際は、耐久性や精密さを確保できる粉末焼結積層造形方式を選ぶのが効果的です。もし、法人で3Dプリンターの導入を検討している場合は、こちらの記事もご覧ください。

関連記事:【SLS方式】粉末造形とは?ナイロン6で造形できるメリットは?

弊社では粉末造形の3Dプリンターを用い、強度や耐熱性に優れた試作品を製作しています。大型ワークサイズ(550×500×500mm)に対応しているため、大型部品も分割せずに一体造形することが可能です。

弊社の粉末造形技術を詳しく解説した記事も公開しているので、興味をお持ちの方は「お問い合わせフォーム」からご相談ください。