ナイロン6、66、11、12の違い│ポリアミドの比較【エンプラ】

ナイロン6、66、11、12の違い

ナイロン(ポリアミド)は、剛性、強度、耐熱性、耐摩耗性など、優れた性能を持つ高性能なエンジニアプラスチックです。

日用品、車部品、電子・電気部品、建材、包装品、衣料繊維などさまざまな市場、用途で使用されています。

ナイロン(ポリアミド)にはいくつかの種類があり、その中でも、最も広く使用されているのがナイロン6(PA6)ナイロン66(PA66)です。最近では、環境への負荷低減を考慮し、植物由来のエンジニアプラスチックであるナイロン11(PA11)も注目を浴びてます。このナイロン11とナイロン12(PA12)は、粉末造形3Dプリンターの材料としても多く利用されています。

今回はこの4つのナイロンの違いをまとめました。

特に性質の近い、ナイロン6とナイロン66ナイロン11とナイロン12の比較をしてます。

ナイロンについての基礎は、以前に「ナイロン(ポリアミド)の種類・特性・用途│主なナイロン製品の製造法」の記事を書いてますので、そちらもご覧いただくとさらにわかりやすくなると思います。

ナイロンの数字はどういう意味?

ナイロン6、66、11、12の違い 数字の意味

ナイロン=ポリアミド(略語PA)

PA11、PA12など、PAの後に数字が続きます。この数字には意味があります。

この数字は、原料内にある炭素原子の数を示しています。(炭素原子=C)

ナイロン6、66、11、12の違い 炭素原子の数

ナイロンのおもな特性

おもな特性

  • 高い強度・剛性・靭性
  • 耐衝撃性に優れる
  • 摺動性に優れる
  • 耐疲労性に優れる
  • 耐油性・耐薬品性に優れる
  • 耐摩耗性に優れる
  • 耐熱性が高い

ナイロン6(PA6) とナイロン66(PA66)

ナイロン6とナイロン66は、優れた特性特性のバランスの良さがさまざまな用途に適し、広い分野で需要があり、幅広く利用されてます。

この2つのナイロンは、特性も非常に似ていますが、わずかな違いがあります。

ナイロン6、66、11、12の違い ナイロン6の着色性と染色性
粉末造形(3Dプリンター)のサンプル(ナイロン6GB)染色、着色ができます。

PA6について

■ナイロン6(PA6)

  • カプロラクタム(炭素数6)の開環重合によって得られる脂肪族のポリアミド
  • 融点:225℃

PA66について

■ナイロン66(PA66)

  • ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)と アジピン酸(炭素数6)の縮重合によって得られる脂肪族のポリアミド
  • 融点:265℃

PA6とPA66の違いは?

ナイロン6とナイロン66は近い特質を持っています。用途により使い分けます。

PA6の方が(PA66と比較して)

  • 耐衝撃性に優れる
  • 吸水性が高い
  • (若干)低コスト
  • 表面外観がいい
  • 加工性が良い
  • (若干)収縮が少ない
  • 着色性、染色性が高い

PA66の方が(PA6と比較して)

  • 吸水性が低い
  • 耐摩耗性に優れる
  • 耐熱性に優れる
  • 剛性に優れる

※材料の特性はグレードや使用条件により異なります。

PA6とPA66の材料選びに迷ったら

どちらも非常に類似した特性なので、やはり用途や予算に合わせて選択した方が良いと思われます。

ナイロン6、66、11、12の違い 

ナイロン6は、吸水性が高いことを考慮して選択するべきでしょう。

含水率が高くなると、引張強度や剛性などの物性が低下します。しかし、衝撃強度は上がります。このような特性を考慮して適切な素材選択しなければいけません。

吸水による影響を加味し、軽量で耐熱性や耐衝撃性、靭性などの高い性能が必要な場合は、ナイロン6を使用するといいでしょう。金属の代替品として軽量化が必要な自動車部品、ドローンなどの部品などにも使用されています。

ナイロン66は、靭性と硬度があり、ナイロン6より低い吸水性とより高い耐熱性があります。船舶用スクリュープロペラや産業向けのギア、ナイロン6より耐熱が必要な自動車部品などに利用されています。

コストは、ナイロン66の方が高くなります。

ナイロン66は、ナイロン6より高い耐熱・耐摩耗性・剛性などを必要とする用途に適します。

PA6、PA66の用途の一例

自動車部品・電気・電子部品各種・軸受け、ギヤなど摺動部品・ガソリンタンク・日用雑貨・建材・玩具・食品用フィルムなど


※上記情報は、内容を保証するものではありません。 あくまでも参考程度にご利用ください。

ナイロン11(PA11)とナイロン12(PA12)

PA11について

■ナイロン11(PA11)の特徴

  • ウンデカンラクタム(炭素数11)の開環重合また、アミノウンデカン酸の縮重合によって得られる脂肪族のポリアミド
  • 融点:187℃

ナイロン11はヒマシ油を原料とした植物由来のエンジニアプラスチックです。

近年では、環境意識の高まりから植物由来のプラスチックとして注目されています。

ただ歴史は古く、1940年代からアルケマ社(フランス)が製造・販売しています。(PA11の取り扱いはアルケマ社のみ)

PA11は環境への影響が少なく、再生不可能なエネルギーの消費の少ない材料です。

ナイロン6、66、11、12の違い ヒマシ油
植物のヒマ(別名:トウゴマ)/ ヒマシ油はヒマの種子(ヒマシ)から抽出

PA12について

■ナイロン12(PA12)の特徴

  • ラウリルラクタム(炭素数12)の開環重合によって得られる脂肪族のポリアミド
  • 融点:176℃

PA11とPA12の違いは?

PA11の方が(PA12と比較して)

  • 耐屈曲疲労性に優れる
  • 耐熱性に優れる
  • 耐熱老化性に優れる
  • 柔軟性が高い
  • 環境にやさしい
  • より少ない再生不可能資源の消費

PA12の方が(PA11と比較して)

  • 密度が低い
  • 吸水性が低い
  • ひび割れに対する強い耐性もある
  • 引張応力に優れる
  • 低コスト
ナイロン6、66、11、12の違い スキーブーツ

※材料の特性はグレードや使用条件により異なります。

PA11とPA12の材料選びに迷ったら

どちらも非常に類似した特性です。

ナイロン11,ナイロン12は、急激な温度変化や亀裂に強いものの用途に利用されることが多いです。

特に環境に配慮した高品質なものを作りたい場合は、ナイロン11を選ぶと良いでしょう。

ナイロン11は、耐屈曲疲労性がナイロン12よりも優れているので、ヒンジなどの繰り返しの変形動作が必要な部品により適しています。

PA11とPA12の大きな特徴は、耐寒衝撃性に優れている点です。耐候性もあり、寒冷地での用途に適しています。ギアやヒンジ、スキーブーツなどの幅広い用途として使用されます。

ナイロン6、ナイロン66との比較

ナイロン6やナイロン66ほどの耐熱性の必要がなく、寸法安定性を必要とし、吸水による影響を避けたい場合に適するのではないでしょうか。

PA11、PA12の用途の一例

自動車部品、電子・電気機器部品、結束バンド、スポーツレジャー用品など

ナイロン6、66、11、12の違い 結束バンド


※上記情報は、内容を保証するものではありません。 あくまでも参考程度にご利用ください。

さいごに

今回は、代表的なナイロンである、PA6,PA66, PA11, PA12の違いをご紹介させていただきました。

こちらの内容は一般的な各種ナイロンの特徴ですので、材料は各メーカーによって物性は異なります。

また、ナイロンはガラスフィラー、カーボンフィラーなどで強化して機械的性質や熱的性質を大きく向上させることができます。

ナイロン6,66,11,12において、おもなナイロンの成形方法は射出成型になります。

小ロットや試作の場合は、切削加工や3Dプリンター造形などです。(特に粉末造形

3Dプリンターでの出力においては、ナイロン12、ナイロン11がもっとも多く使用されます。ナイロン66は難しいようですが、最近では、ナイロン6でも出力も可能な機種もあります。

ナイロン製品の試作には、ニーズや使用目的により、適正な材料と工法を選択する必要があります。

※物性や工法によって今回ご紹介した用途には適正でない場合もあります。ご了承ください。

試作でナイロン製品を作るには

先述した通り、ナイロン製品の加工法は量産の場合は、射出成型が代表的な製造方法です。また、用途や形状によって押出成形、ブロー成型で成形する方法があります。

試作品や小ロットの製品の場合は、切削加工、簡易金型による射出成型、ナイロン注型、3Dプリンターによる造形などがあります。

弊社では、PA11,PA12,PA6を使用した粉末造形、また、PA6を使用したナイロン注型で小ロットの試作品を成形できます。

粉末造形では、

  • 軽量化時代の金属代替品としても最適!高い耐熱や強度を必要とした試作品のナイロン6
  • 環境負荷低減への取り組み。地球温暖化防止に!環境負荷の少ない、機械的強度のあるナイロン11
  • 吸水率と比重の低い、寸法安定性のあるナイロン12

各種ナイロンでの造形が可能です。

ナイロン真空注型では、コストや時間のかかる金型が不要で、シリコーン型でナイロン6を使用した真空注型ができます。

ガラスフィラーで強化することも可能です。

おかげさまで、弊社のナイロン成形試作では多種多様な業種からご依頼いただいております。

また弊社で開発したナイロン注型材と装置もありますので、ナイロン注型技術導入にご興味ございましたら弊社までご連絡ください。

ナイロンにかかわらず、「どんな材料、加工法を選択していいかわからない」などプラスチック試作に関する疑問質問がございましたら、適切な材料、工法のご提案や見積作成させていただきますので、お気軽にご連絡ください。

弊社開発・ナイロン注型装置、材料!

3NI-NYLONのより詳細な情報はこちらから

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ナイロン注型システム導入をお考えの方(3NI-NYLON)

ナイロン製品の製作依頼
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弊社保有の画期的な技術「ナイロン真空注型」の出現で、
耐久・耐熱部品 1~20個の小ロット試作品が真空注型で!

これまでに数多くの実用試験に使用されるナイロン注型品を製作しております。

ナイロン注型 サンプル品
※量産品を注型して製作したマフラープロテクターのサンプル品 

ナイロン製品を3Dプリンターで!
粉末焼結方式「造形出力サービス」

粉末焼結方式では材料として樹脂系では主にナイロンが使用でき、靭性に優れたナイロン12ポリプロピレン、耐熱性に優れたナイロン12+ガラスビーズが主要です。

弊社では、高機能粉末造形機を保持しており、耐熱性と高剛性に優れたナイロン6+ガラスビーズでの造形が可能で、実働試験に使用可能な部品も出力いたします。

植物由来のエンジニアプラスチックであるナイロン11の造形も可能です。

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