機能試作とは?実施するメリットや具体的な進め方、注意点を解説

開発した製品をトラブルなく市場に出すためには、機能試作を通じて設計の妥当性や使いやすさを検証することが大切です。しかし「どのように進めればいいのかイメージできない」「自分たちの状況で実施すべきかわからない」と悩んでいる方も多いでしょう。

そこで、この記事では機能試作について解説します。導入のメリットや進め方、注意点を紹介するので、ものづくりに携わる方はぜひ最後までご覧ください。

機能試作とは

機能試作とは、製品が意図した通りに動作するか、使いやすさに問題がないかを確認するために行う試作のことです。実際に使用する部品や材料で試作品を作り、ユーザーの視点から課題や改善点を見つけていきます。

製品開発では、理論通りにいかないことが少なくありません。このようなリスクを前もって洗い出し、製品の完成度を高めるためにも、機能試作を行うことが大切です。

機能試作をするメリット

機能試作には、以下のようなメリットがあります。

  • 不具合を早期に発見できる
  • コストの見積もり精度が上がる
  • ユーザーテストで操作性を検証できる

不具合を早期に発見できる

設計段階では気付きにくい問題点も、実際に形にすることで明らかになることがあります。たとえば、部品同士が干渉してしまう、想定した動きにならないといった課題は、図面やシミュレーションだけでは把握できないことも珍しくありません。

機能試作を通じてこうした不具合を早い段階で洗い出しておくと、修正にかかる手間やコストを軽減できます。結果として、後工程でのトラブルを防ぎ、開発スケジュールの遅延を避けやすくなります。

コストの見積もり精度が上がる

機能試作を行うことで、実際に必要な材料や加工工程、作業時間などが具体的に把握できるようになります。設計段階では見えにくい手間やコストのかかる工程も試作品を作る過程で明らかになるため、開発にかかる費用を正確に見積もりやすくなります

これにより、予算オーバーや無駄な出費を防ぎやすくなり、計画的なリソース配分にもつながるでしょう。また、初期段階で費用の全体像をつかむことで、経営層や関係者への説明も進めやすくなります。

ユーザーテストで操作性を検証できる

ユーザーが使用するシーンを想定して試作品を試すことで、設計段階では見えなかった操作性の課題を発見しやすくなります。たとえば「操作が複雑に感じる」「持ちにくい」「メンテナンスが難しい」など、ユーザー目線での細かな違和感は、図面や仕様書だけでは把握しきれません

こうしたユーザーテストの結果をもとに改善を重ねていけば、最終的に誰にとっても扱いやすい製品づくりにつながります。特に、複数のユーザーにテストしてもらうことで、多角的なフィードバックが得られ、設計の見直しにも直結します。

機能試作をした方がいいケース

以下のような場面では、実際の使用を想定した検証を行うことが大切です。

  • 仕様調整が頻発する
  • ハードとソフトが連動する
  • 特殊な環境で使用される

仕様調整が頻発する

開発の途中で仕様変更が何度も発生する場合、図面やデータだけで進めると現場との認識にズレが生じやすいです。機能試作を取り入れると、実際に試作品を使いながら細かな仕様の違いを早い段階で確認できるため、設計や工程の見直しもスムーズに進められます

さらに、変更が発生するたびに実機で確認できる環境を整えておくことで、調整と検証のサイクルを短縮し、迅速な意思決定が可能になります。

ハードとソフトが連動する

製品にハードウェアとソフトウェアの両方が関わる場合、それぞれが単独で問題なく動作していても、組み合わせたときに思わぬ不具合が発生することは珍しくありません。たとえば、機構が設計どおり動いていても、ソフトの制御設定が適切でないと、誤作動を引き起こす恐れがあります。

機能試作を通じてハードとソフトの連携状態を確認しておけば、このような制御ミスや動作のタイムラグといった課題を早期に発見することが可能です。また、開発初期から連携テストを繰り返すことで、最終段階での調整負荷を減らし、全体の完成度を高めやすくなります。

特殊な環境で使用される

高温や多湿、粉塵が多い場所など、特殊な環境で使われる場合は、設計通りの性能や耐久性が維持されるかをあらかじめ確認しておく必要があります。現場の環境に近い条件下で試作品を動かすことで、部品の摩耗や動作不良などのリスクを早期に把握し、適切な対策を講じやすくなります

特に、長期間の使用や繰り返し動作によって発生する劣化や変形などは、初期設計段階では想定しにくいため、実物を使った検証はできるだけ早く始めるのが効果的です。

機能試作をしなくてもいいケース

以下のような場合は、必ずしも機能試作を行う必要はありません。

  • 検証済みの技術を利用している
  • 複雑な動作・制御がない
  • 操作性より外観を優先している

検証済みの技術を利用している

過去に量産された実績があり、動作や性能に問題がなかった技術や構造をベースにした製品であれば、機能試作を行わなくても開発を進められる場合があります。たとえば、既存製品と共通の構造をそのまま流用する場合は、あらためて機能検証を行わなくても、一定の品質が担保されると判断できるでしょう

このようなケースでは、試作にかかる費用や時間を抑え、本設計や量産準備にリソースを集中させる方が効率的です。ただし、たとえ技術が検証済みでも、使用環境や目的が異なる場合は、慎重に適用の可否を見極める必要があります。

複雑な動作・制御がない

製品の構造がシンプルで、複雑な動きや制御を必要としない場合も、機能試作を省略できる可能性があります。一定の動作しかしない単純な機構や、オン・オフのみで動作が完結する制御内容であれば、設計通りに製作すれば安定した性能が期待できます

しかし、構造が単純であっても、新たな素材を使用する場合や他の構成要素と組み合わせる場合には、必要に応じて機能面を確認することが欠かせません。

操作性より外観を優先している

外観重視の製品であれば、操作性や使用感の細かな検証を目的とした機能試作を省略できることがあります。たとえば、展示会用のモックアップのような見た目の印象が重視されるサンプルでは、外形寸法や色味を確認できれば目的は達成されます

このようなケースでは、機能試作よりも、形状や質感を確認するための「デザイン試作」を優先する方がよいでしょう。

機能試作の進め方

機能試作を実施する際は、以下の進め方を参考にしてみてください。

  • 利用シーンを具体化する
  • ユーザー動線を設計する
  • 簡易モデルを組み立てる
  • 使い勝手を検証する
  • フィードバックを集める

利用シーンを具体化する

まずは実際に使う人の立場になって、できるだけリアルな利用状況を想像してみましょう。屋外で使うのか、手袋をしたまま扱うのかなど、細かな使用条件の違いが設計に大きく影響することもあります

もしイメージしづらい場合は、現場の写真や動画を確認したり、実際の使用者に話を聞いてみたりするのがおすすめです。利用シーンが具体的になるほど、試作の意義と方向性がはっきりしてきます。

ユーザー動線を設計する

利用シーンが明確になったら、次はユーザーがどのような流れで製品を使うのかを具体的に考えてみましょう。使い始めから終了までの一連の流れを整理しておくと、どこで手が止まりやすいか、無理な姿勢や手順が発生しないかなど、使い勝手の課題を発見しやすくなります

実際にユーザーになったつもりで動作を再現し、簡単なフローチャートや手書きのスケッチで動線を整理するだけでも、組み立てるモデルに必要な要素が明確になります。

簡易モデルを組み立てる

試作の初期段階では、確認したいポイントに絞った簡易モデルから始めるのがおすすめです。簡易モデルとはいっても、実際の材料や部品を使うことで、設計通りに動くか、物理的な干渉が起きないかといった重要な確認が行えます

最初は一部の機能だけを再現し、必要に応じて他の機能を追加していきましょう。

使い勝手を検証する

簡易モデルが組み上がったら、ユーザーの立場になって使い勝手を検証してみましょう。その際、操作がしやすいか、想定された動線に無理がないかといったポイントを一つひとつ丁寧に確かめることが大切です

わずかな違和感でも、実際に使用する際には大きなストレスや作業効率の低下につながることもあるため、細かい部分まで注意を払って検証してみてください。

フィードバックを集める

検証が一通り終わったら、そのときに得られた意見や気づきを整理しましょう。使いづらさを感じた場面はもちろん、動作に違和感があった箇所や迷った操作など、些細に思える内容ももれなく記録しておくことが重要です。

こうしたフィードバックを丁寧にまとめておくことで、設計の見直しがスムーズになり、製品の完成度を着実に高められます

機能試作をするときの注意点

以下のポイントに注意することで、機能試作の効果を最大限に引き出せます。

  • すべての機能を詰め込まない
  • 評価基準を明確にする
  • 本番環境に近い条件で検証する

すべての機能を詰め込まない

いきなり完成品と同じ機能をすべて盛り込もうとすると、開発期間やコストが膨らみやすくなります。開発初期の段階では、コストや期間に制約があるため、本当に確認したい機能に絞って試作することが重要です。

また、必要以上に多くの要素を追加すると評価が複雑になり、本質的な課題が見えにくくなるリスクもあります。

評価基準を明確にする

機能試作の目的は、設計の妥当性や性能を具体的に検証することにあります。そのため、何をどこまで評価するのかといった基準を明確にしておくことが欠かせません。

目的が曖昧なまま試作を進めてしまうと、評価の観点がぶれてしまい、どの部分を改善すべきか判断しづらくなります。評価結果を適切に分析し、納得感のある意思決定につなげるためにも、どの項目をどの水準まで満たせば合格とするのかを関係者間で共有しておきましょう。

本番環境に近い条件で検証する

ユーザーの操作手順や設置場所での姿勢、周囲の干渉物など、実際の使われ方を意識することで、図面や仕様書では見えなかった使い勝手の課題に気づけることがあります。たとえば、片手での操作が前提の機器でも、設置位置や操作スペースによっては手が届きにくく、スムーズな操作が難しくなる場合があります。

可能であれば、実際に使うスタッフや想定ユーザーにも試作品を使ってもらい、現場ならではの改善点を洗い出しましょう

機能試作に関するよくある質問

機能試作を検討している方は、よくある質問もチェックしておきましょう。

  • 原理試作との違いは?
  • どの段階で行うべき?
  • 社内と外注、どちらがおすすめ?

原理試作との違いは?

原理試作は、新しい技術やアイデアが本当に実現できるかどうかを検証するために行われます。この段階では外観や使いやすさは重視されず、動くかどうか、技術的に問題がないかに焦点を当てます。

一方、機能試作は基本的な性能や操作性、使い勝手などを検証することが目的です。操作時に違和感がないか、ユーザーが意図通りに扱えるかなどを、実際の使用環境を想定して評価します。

このように、原理試作は「技術的にできるか」を、機能試作は「製品として問題なく使えるか」を確認するために行われます。原理試作について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

関連記事:原理試作とは?実施するメリットや具体的な進め方、注意点を解説

どの段階で行うべき?

機能試作は、製品開発の初期段階で行うのが一般的です。設計がある程度固まり、製品の構造や動作に目処が立った時点で実施すると、具体的な完成イメージを想定しながら検証を進められます。

特に操作性や強度などは、図面やデータだけでは判断が難しく、実際に試作して初めてわかることも少なくありません。そのため、後工程での手戻りや仕様変更のリスクを減らすためにも、早めに機能試作を取り入れることが大切です。

社内と外注、どちらがおすすめ?

開発体制やスケジュール、社内の設備状況によって、適切な試作方法は異なります。社内で試作を行う場合は、設計意図や細かな調整をすぐに反映しやすいというメリットがあります

自社の設備や人材を活用できれば、情報共有や意思決定もスムーズです。ただし、専門的な加工技術や設備が必要な場合、社内だけでは対応が難しいこともあります。

そのような場合は、外部の専門業者のノウハウや設備を活用することで、短期間で高品質な試作品の製作が可能です。たとえば、弊社ではナイロン注型や粉末造形といった加工技術を用いて、複雑な形状や高精度が求められる試作品にも対応しています。

プラスチックの機械加工や治具製作も行っているため、品質を重視している方は、ぜひ弊社の特殊技術を紹介した記事もご覧ください。

まとめ

この記事では、機能試作のメリットや進め方、注意点について解説しました。機能試作を実施することで、設計段階では見えにくい不具合を洗い出すことが可能です。

さらに、実際の使用シーンを想定して検証することで、ユーザー目線での課題も見つけやすくなります。そのため、品質や使いやすさを向上させたい方は、機能試作の導入を検討してみてください。

もし「体制が整っていない」「時間がかけられない」という理由で機能試作を実施できない場合は、外部の専門業者に依頼するのも有効です。外注を活用することで、社内の負担を減らしつつ、短期間で試作品を完成させられます。

たとえば、弊社ではナイロン注型や粉末造形などの加工技術を活用し、高強度・高耐熱の試作品を製造しています。オンラインでデータを共有しながらの打ち合わせも可能ですので、機能試作でお悩みの方は「お問い合わせフォーム」よりお気軽にご連絡ください。