歩留まりの改善方法7選!低下の原因や発生する問題もわかりやすく解説

製造現場でコストを抑えながら高品質な製品を作るためには、歩留まりを改善することが重要です。しかし「不良率がなかなか下がらない」「改善しても効果が続かない」と悩んでいる方も多いでしょう。
そこで、この記事では歩留まりの改善方法7選を解説します。歩留まりが低下する原因や起こりがちな問題も紹介するので、製造ラインの改善に取り組んでいる方は最後までご覧ください。
歩留まりとは

歩留まりとは、製造工程で使った原材料や部品のうち、最終的に規格を満たして出荷できた製品の割合のことです。計算式は以下のようになります。
歩留まり率(%) = 良品数÷総生産数×100
たとえば、100個の部品を加工して95個が良品であれば、歩留まりは95%です。この数値が高いほど、材料の無駄が少なく、生産が効率的に行われているといえます。
そのため、歩留まりを高い水準で維持することは、安定した生産と品質を実現するうえで欠かせません。
歩留まり低下で発生する問題

歩留まりが低下すると、製造現場ではさまざまな問題が発生します。
- 生産コストが上昇する
- 品質が低下する
- 作業者の負担が増大する
生産コストが上昇する
不良品が増えると、原材料や部品が無駄になり、作り直しに追加の手間と時間がかかります。さらに、原因を特定するために製造ラインを一時停止する必要が出てくることもあり、稼働率の低下を避けられません。
こうした負担が積み重なると、原価だけでなく人件費やエネルギーコストも増加します。さらに、不良率の高い状態が続くと、追加発注や在庫の増加といった間接的なコストが発生します。
品質が低下する
不良品が増えるということは、工程のどこかでばらつきが生じているということです。寸法の誤差や仕上げのむら、材料の特性変化など、その原因は一つではありません。
こうした問題を放置すると品質が安定せず、検査をすり抜けた不良品が市場に流出し、顧客満足度を低下させる恐れがあります。法人間の取引では、一度の品質トラブルが次の取引や契約更新に直結するため、わずかな不良でも大きな損失につながります。
作業者の負担が増大する
不良が多くなると再加工や検査のやり直しが発生し、通常の業務に加えて追加の作業を行わなければなりません。その結果、残業や休日出勤が増え、集中力やモチベーションの低下を招くこともあります。
さらに、不良の原因究明や改善策の検討に追われることで、本来の生産活動に十分な時間を割けなくなる場合もあります。こうした状況が続くと、人的ミスの再発や職場の雰囲気の悪化など、組織全体のパフォーマンスにも影響が及びかねません。
歩留まりが低下する原因

歩留まりが低下する原因は、大きく分けて次の3つです。
- 設備・材料に不具合がある
- ヒューマンエラーが発生している
- 管理体制が整っていない
設備・材料に不具合がある
機械の摩耗やセンサーのずれ、温度・圧力の制御不良といったわずかな異常でも、製品の仕上がりにばらつきが生じます。たとえば、圧力センサーの誤差によって加圧工程の力加減が一定でなくなると、製品の強度や密度に差が生じます。
また、加熱や冷却の制御が不安定な場合、成形不良や変形などが発生しやすいです。このように、設備の精度や状態が安定していないと、品質のばらつきは避けられません。
また、使用する原材料の品質や特性が一定でない場合、同じ条件で加工しても結果が異なることがあります。樹脂材料の場合は流動性が、金属材料の場合は硬度が変化すると、成形性や加工精度が不安定になりやすいです。
こうした設備や材料の変動要因を放置すると、工程が安定しない状態が続き、結果として歩留まりの低下が慢性化しやすくなります。
ヒューマンエラーが発生している
工程が複雑で手順が多い場合や、設備ごとに操作方法が異なる場合、わずかな判断の違いが不良の発生につながることがあります。特に、人の感覚や経験に依存して作業を行う工程では、再現性が低下しやすく、製品の品質にばらつきが生じやすくなります。
こうしたエラーは、単発的に起こるものではなく、作業者自身が気づかないうちに同じミスを繰り返してしまうケースも少なくありません。具体的には、検査工程での見落としや設定値の入力ミス、材料の取り違えといった些細な行動が、結果として製品全体の品質に影響を及ぼします。
一見自動化が進んでいるように見える工程でも、実際には人の判断が不可欠な部分が残っており、完全に人為的な影響を排除するのは困難です。
管理体制が整っていない
工程ごとのデータが正確に記録されていなかったり、情報が担当部署間で共有されていなかったりすると、不良の傾向を早い段階で把握できません。その結果、問題が起きても原因特定までに時間がかかり、対応が遅れてしまいます。
こうした状況が続くと、同じ不良が繰り返され、現場の負担が増えるばかりでなく、品質に対する社内外の信頼を損なう恐れがあります。また、品質管理や生産管理のルールが形式的なものにとどまり、現場に十分浸透していない場合も注意が必要です。
担当者ごとに判断が異なれば、改善策の効果が一時的になり、再発防止が難しくなります。このように、管理体制の不備は単なる情報共有の遅れにとどまらず、品質の安定性を損なう大きな要因になります。
歩留まりの改善方法

歩留まりを向上させるには、次のような取り組みが効果的です。
- 設備の定期点検を徹底する
- 受入検査を強化する
- 作業標準書を整備する
- 作業環境を改善する
- 量産試作を実施する
- 不良データを可視化する
- 改善活動を仕組み化する
設備の定期点検を徹底する
どれほど熟練した作業者がいても、設備の状態が不安定であれば、安定した品質を維持するのは容易ではありません。たとえば、金型の摩耗や機械の振動、温度制御装置のわずかな誤差でも、製品の寸法や仕上がりに影響が出ます。
そのため、日常点検で清掃や給油を欠かさないことはもちろん、専門担当者による精度確認や部品交換を定期的に行うことが重要です。さらに、点検記録をデータとして残せば、設備の状態変化を継続的に追跡できるようになります。
蓄積した情報をもとに故障傾向や異常発生のパターンを分析することで、トラブルの兆候を早期に把握し、ライン停止や生産遅延のリスクを大幅に減らせます。設備による品質不良を防止するには、稼働時間や使用回数に応じてメンテナンスを行うことが不可欠です。
受入検査を強化する
どれほど製造工程を整えても、使用する材料の品質が安定していなければ、良品を安定して生産できません。特に、外部から仕入れる部品や材料はロットごとに品質にばらつきが出ることがあり、そのまま生産に回すと不良の連鎖を招く恐れがあります。
そのため、受入段階で外観・寸法・成分などを確認し、基準を満たさないものを早期に排除する仕組みを整えることが大切です。検査の精度を高めるには、作業者の経験だけに頼らず、測定器や画像判定装置などの客観的な評価方法を併用することが効果的です。
検査結果をデータとして蓄積しておけば、仕入れ先ごとの品質傾向を分析でき、取引先へのフィードバックや改善依頼にもつなげられます。さらに、検査項目や判定基準を明確にし、担当者間で判断がばらつかないようにすることも欠かせません。
作業標準書を整備する
作業標準書とは、作業手順や注意点、使用する道具などを明確に示した基準書のことです。これが整っていないと、作業者によって判断や方法が異なり、品質のばらつきや不良の発生につながります。
特に、経験の浅い作業者が多い職場や人員の入れ替わりが頻繁な現場では、標準書の有無が歩留まりの安定性を大きく左右します。整備の際は、実際に作業を行う現場の意見を取り入れることが大切です。
現場の工夫や知恵を反映させることで、形式的ではなく実用性の高い内容に仕上げられます。また、文字だけでなく写真や図を用いて視覚的に理解しやすくすると、ミスの防止にもつながります。
標準書は作成して終わりではなく、工程や設備の変更に応じて見直すことが必要です。定期的な検証と改善を繰り返すことで、最新の手順やノウハウが反映され、現場全体の知識が蓄積していきます。
作業環境を改善する
温度・湿度・照明・換気などの環境条件が適切でないと、作業者の集中力が低下し、ミスや品質のばらつきにつながります。たとえば、照明が不足していると細かな検査や組立工程での確認が難しくなり、目視の精度が下がります。
また、室温が低すぎると手先の感覚が鈍くなり、安定した作業精度を維持できません。さらに、作業エリアの整理整頓が行き届いていないと、部品の取り違えや工具の紛失など、ヒューマンエラーの原因にもなります。
このような環境面の課題を改善する際は、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の考え方を基本に、作業スペースのレイアウトや動線も視野に入れて環境全体を見直すことが重要です。作業者が安心して集中できる環境を整えれば、不良率が下がり、歩留まりの安定が期待できます。
さらに、快適な職場環境は従業員の満足度を高め、離職率の低下や生産意欲の向上にも効果を発揮します。
量産試作を実施する
量産試作とは、本番と同じ設備や条件で少量の製品を試しに生産し、工程や品質に問題がないかを検証する取り組みです。設計段階では把握しきれなかった不具合や加工精度のずれを、実際の生産条件下で確認できます。
これにより、量産開始後に発生しがちなトラブルを未然に防ぎ、安定した生産体制を整えることが可能です。また、試作の過程では設備設定の最適化や作業手順の改善点も明らかになるため、歩留まりの安定に直結します。
さらに、量産試作で得られたデータを分析すれば、温度・圧力・加工時間などの条件と品質の関係を数値で把握でき、再現性の高い工程設計が可能になります。量産試作の具体的な進め方や注意点については、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:量産試作とは?実施するメリットや具体的な進め方、注意点を解説
不良データを可視化する
不良が発生したときに、経験や勘だけで原因を判断していては、根本的な改善にはつながりません。データを収集し、数値で見える化することで、問題の傾向や発生パターンを客観的に分析できるようになります。
たとえば、不良を種類別・工程別・時間帯別に整理すると、どの工程でトラブルが集中しているのか、どんな条件で発生しやすいのかを明確に把握できます。さらに、グラフやダッシュボードを活用して変化を一目で確認できるようにすれば、現場担当者だけでなく管理層も同じ認識を共有することが可能です。
こうした情報共有が進むことで、対策の優先順位がつけやすくなり、改善活動の効果も高まります。また、不良データをリアルタイムで集計・分析できる仕組みを整えれば、異常の兆候を早期に把握し、その場で迅速に対応できます。
改善活動を仕組み化する
不良が発生した際に個別で対策を行っても、同じような問題が再発することがあります。これは、改善内容が共有されず、経験が個人にとどまってしまうことが原因です。
改善を仕組み化するには、まず問題発生から対策実施までの流れを標準化し、誰が見ても分かる形で管理することが効果的です。たとえば、不良発生時の報告書や分析テンプレートを統一し、原因・対策・効果を時系列で記録する仕組みを整えます。
これにより、過去の事例を簡単に参照でき、再発防止や他工程への展開がしやすくなります。また、改善活動を担当者任せにせず、定期的にチームで進捗を共有する場を設けることも大切です。
組織全体で課題を共有できれば、現場の意識も高まり、改善が継続しやすくなります。さらに、成果を数値で可視化し、達成度を評価することも有効です。結果が明確に示されることで、現場のモチベーションが高まり、取り組みが定着します。
まとめ
この記事では、歩留まりが低下する主な原因や、その改善方法について解説しました。設備や材料、作業環境などの複数の要因を見直すことで、歩留まりを着実に改善できます。
また、改善活動を仕組み化すれば、現場全体で品質を継続的に高めることが可能です。歩留まりは生産性に直結する重要な指標なので、この記事を参考に自社の課題に合った取り組みを進めてみてください。
歩留まり改善を進めるうえでは、試作による検証が欠かせません。もし「体制が整っていない」「技術的な課題が多い」といった理由で試作が進められない場合は、外部の専門業者に依頼するのも効果的です。
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